~大学の国際化に伴い私達の仕事はどう変わるのか~立命館アジア太平洋センター訪問記

宮崎 美緑
国際連携研究戦略本部

人材のグローバル化の必要性が高まるとともに、それに対応した人材を育成する、大学教育のグローバル化も必要となってきている。今回、長崎大学が取り組んでいる新しい修士課程の設置に関連して、いち早く大学教育のグローバル化を推進してきた立命館アジア太平洋大学(APU)を訪問してきた。

大学のグローバル化にあたっての最重要課題はコミュニケーションと文化の相互理解だと思われる。APU では掲示物や学生向けの資料、履修ハンドブック、会議資料、などほとんどすべての掲示物・配付物が日英両方で表示されている。また、学生寮のシェアルームでは、必ず留学生と日本人が2 人1 部屋で共同生活を行い、フロアごとに決められたRA( レジデント・アシスタント) がリーダーとなり、小さなコミュニティーを形成している。日本人学生、留学生の互いのコミュニケーション能力の向上はもちろん、留学生にとっては日本で生活していくうえでのルールを学べる「教育寮」となっている。

実際に、APU で行われている授業を見学することはできなかったが、キャンパスの環境は常に英語に触れられるようになっており、生活の場でも国際的な経験を得られるようになっていた。それにより、グローバル化に対応するためのリーダーシップ能力、マネジメント能力、コラボレーション能力、イニシアティブ能力などの資質を見出すことができるのではないだろうか。

そのようなキャンパス環境を整えるためには、職員の努力も不可欠である。APU 職員は常に英語に触れているため、自然と英語力も伸び、TOEIC の平均点も比較的高いそうなのだが、そうなるにはそれだけの努力はしているのだと思った。APU 独自の教育、環境、サービス、それら全てがAPU 職員のAPU に対する自負となっていた。

APU 見学を通じて、急速に進む経済や社会の変化をどう把握し、グローバル化に対応する教育の質の補償、教職員に対する競争力向上・維持が必要なのではないかと思った。グローバル化に対応した人材育成とそれに伴う大学改革によって、今後の大学力が問われるのではないだろうか。

CICORNニュースレター第2号(平成25年8月号)掲載記事
http://hdl.handle.net/10069/34013