加藤 誠治 教授
国際連携研究戦略本部
日本は戦後の1954 年から、日本人専門家の海外派遣、外国人の研修員受入事業を通じ、政府開発援助(ODA)を開始しました。そうした歴史から、海外からの研修員受け入れ事業はODA の中でも伝統ある事業と言えます。
この度、国際連携研究戦略本部はJICA からの委託の元、アジア、アフリカ、中米諸国の感染症対策を担う行政官らを対象とした「感染症対策行政」研修を実施しました。
「三大感染症」といわれるHIV/ エイズ、結核、マラリアに加えて、その他の熱帯病などは開発途上国の人々の健康に対する脅威であり、また新型インフルエンザ等は地球規模の新たなる課題となっており、感染症対策は日本をはじめ国際社会が取り組みを進めている重要課題です。
そのような感染症対策に関連する本研修は、1987 年より開始され、これまで東京を中心に実施されてきましたが、今年度からは東京に加えて、長崎の感染症対策の経験や県保健行政の実施体制、そして長崎大学が有する熱帯医学研究所等における最先端の知見を学ぶべく、研修プログラムを一新して実施することになりました。今年は、エチオピア、ケニア、タジキスタン、中国、パキスタン、パナマ、マリ から合計14 名が参加して、長崎では2 月24 日(月) から3 月3 日(月)まで研修が行われました。
受託に際しては、厚労省、JICA と協議を重ね従来の研修コースをベースにしつつも、地方行政の現場における感染症対策の実際及び熱帯医学研究所が蓄積してきた知見を加え研修コースを設計した。その結果、各研修員が目標を達成する上での研修デザインに関して、14人中13人が「非常に良い」、「良い」との評価となりました。今回の研修員の関心事項としては、アフリカの研修員からはマラリア、結核に関して参考になる具体策に関してのニーズが高く(現実問題として効果的な対策はなかなか難しいことですが)、又デング熱、フィラリア等のNTD もまだまだ関心、ニーズが高かったと言えます。
今回はじめて本学が本コースを実施いたしました。訪問先機関13 ヶ所、全講師30 名という非常に広範な機関と多くの方々のご理解とご協力によって支えられています。今回ご協力いただいた関係機関、厚生労働省大臣官房国際協力室、結核感染症課、食品安全部、厚生科学課、国立感染症研究所、国立保健医療科学院、UNICEF 東京事務所、国立国際医療センター、結核予防会、JICA 本部、長崎県福祉保健部、県央保健所、県環境保健研究センター、長崎大学付属病院感染制御教育センター、熱帯医学研究所、SABIN 研究所(ワシントン)の関係者の方々にこの場をお借りしてお礼を申し上げます。
CICORNニュースレター第4号(平成26年4月号)掲載記事
http://hdl.handle.net/10069/34255