ベラルーシにおける医学部学生の派遣は、すでに20年以上に渡って続けられています。
医学部3年生時のリサーチセミナーの期間(冬季)に、希望する学生が1〜数名、約1ヶ月間派遣され、長崎大学の提携校である国立ベラルーシ医科大学と国立ゴメリ医科大学に受け入れてもらいます。ゴメリ医科大学はチェルノブイリ原発事故の被災地における医療状況改善のために、事故後開設された比較的若い医科大学です。ゴメリ医科大では、派遣された学生はチェルノブイリ事故の被災エリアでの医療に関わる様々な医療機関を視察します。またチェルノブイリ事故や放射線の人体への影響についての医学部生の意識調査など、さまざまなリサーチを行うこともあります。そのリサーチの結果を論文にして学術誌に掲載できた学生も過去数名います。また2018年度からは新たに被災エリアのコルマ村に開設されたゴメリ・長崎の共同教育実習センターでの短期実習も組み込まれています。首都ミンスクのベラルーシ医科大学では、国内の最先端の医療施設など様々な医療現場の視察がアレンジされます。
2019年1-2月にかけては、医学部3年生の金堂円太郎さんが派遣され、充実した研修を受け、ゴメリ医科大では医学部学生の意識調査も行うことができました。
ベラルーシへ派遣される学生は、たいていの場合、ベラルーシという国についての基礎知識を持ち合わせていません。政治経済環境が大きくことなる、決して豊かとは言えないベラルーシでは、医師は高収入が約束される職業ではありません。そのような環境で医師を目指す現地の学生たちとの交流で、彼らの世界観、医療を目指す志の高さ、勤勉な姿勢などからも多くの刺激を受けて帰ってきているようです。