アフリカ仏語圏の国々からの保健医療行政官12名を研修員として受入

平岡 久和 准教授
国際連携研究戦略本部

長崎大学では、国際協力機構(JICA)の研修員受入事業により、フランス語を公用語とするアフリカ10カ国から、地域における住民の健康の向上に取り組む保健医療の行政官12名を約1ヶ月、研修実施のために受け入れました。本研修(課題別研修「アフリカ地域 地域保健担当官のための保険行政(B)」)の本学による受託は平成27年度がはじめてです。研修員は、コートジボワール、コモロ、コンゴ民主共和国(2名)、セネガル(2名)、チャド、トーゴ、ベナン、マリ、モーリタニア、モロッコから、6月30日から7月30日の期間、長崎及び東京で研修を行いました。

研修員は地域保険行政の歴史、現在の施策、離島における保健医療向上の難しさとその対策などを学びました。その結果、「行政(県・市)とサービス提供者(保健所、病院)間、学校との連携」「法整備と法に沿った事業の執行」「遠隔地に対する保健サービス提供方針と実践、人材育成」「住民参加活動(生活改善、地域保健グループ組織化)の活性化及び住民啓発活動の実施」といった日本での活動を、自国への適用が可能なこととして見つけることができました。

研修で得られたヒントをもとに、自国の保健医療課題の改善を進めるにはどうしたら良いか、研修員は、帰国後に何をするかの行動計画を立案しました。研修の最後では、自国の「母子保健改善活動の活性化」「思春期・若者のニーズに応じた保健サービスの提供」「行政と医療機関との間の保健情報システムの改善」「保健医療従事者の人材管理ツールの開発」など、各人の活動計画内容を発表して祖国へ戻りました。

今後帰国した研修員は自信の業務環境において、日本で得られた知見をもとに業務改善に取り組みます。それぞれ抱えている課題は異なっており、人材も資金も不足がちではありますが、研修員の遠く離れた国での活躍を期待したいと思います。

本研修は20近い関係機関という非常に広範な機関と多くの関係者のご尽力により実現しました。受入先機関の皆様による技術的な研修内容のみならず、日本人の気配りやおもてなしの心、規律正しさといった点を実感した研修員も少なくありませんでした。ここに研修実施にご協力頂きました皆様に感謝いたします。

大人数にも関わらず各訪問先で温かく受け入れていただきました

講義を受ける研修員

日本の離島における保健医療の現状を現場で確かめる ワークショップで取り組んだ自国の保健課題抽出の結果を皆に発表

CICORNニュースレター第6号(平成27年12月号)掲載記事
http://hdl.handle.net/10069/36064