島嶼SDGsプロジェクトとは

2016年にスタートした国際連合のSDGs(持続可能な開発目標)は「Leave No One Behind/誰一人取り残さない」を標榜して各種目標に全世界で取り組むものです。「誰一人取り残さない」と謳われたのは、SDGsが目指す持続可能な開発、ひいては真の世界の平和と安定の実現のために、社会的にも地域的にも「取り残される」人がいてはならないという事に他なりません。

長崎は1945年の原爆の投下ですべてを失って以来、平和を強く願う県ですが、現在、日本そして世界の中でも先進する社会問題を抱えています。それは、高齢化、人口流出の中での地域社会の維持です。次の表はOECDが発表する世界の高齢化の状況と予想ですが、日本は世界一高齢化が進んでおり、世界のほとんどの地域が30年後或いは60年後に日本と同じような状況になると予想されています。その高齢化世界一の日本にあって、長崎は全国平均より10%前後高齢化率が高い島を多く抱えており(次の図参照)、こうした島では人口流出も深刻となっています。地理上、長崎は島の数が日本一多い県であり、本土にもへき地も多く抱えていることから、長崎は日本において最も「取り残されやすい」地域があると言えます。

この長崎に拠点を置く長崎大学は「地球の平和を支える科学を創造することによって,社会の調和的発展に貢献する」事を理念に掲げ、医学・教育・工学・水産・環境・経済・多文化等の分野を擁する総合大学です。SDGsがスタートする以前より、地域の大学として各分野が島やへき地における研究・教育活動を行ってきましたが、2018年11月にSDGsを意識し、大学全体として自治体や企業、NPO、市民団体とのパートナーシップのもと、総合的に島の持続性の課題に取り組む「島嶼SDGsプロジェクト」をスタートさせました。本プロジェクトでは、島やへき地との対話の元、地域社会の維持のための知見を集約すると共に、海外の島嶼・へき地とも連携し、課題解決策の共有・発信を行っていきます。

表 OECD(経済協力開発機構)による世界の老齢労働年齢比(65歳以上の人口が、20歳~64歳までの人口に占める割合)。日本と2020年の各国の数値を黄色でハイライトした。赤字は老齢労働年齢比が50%以上の国。2020年時点では日本のみであるが、その後2050年、2080年には多くの国が50%以上になると予測されている。

原典はhttps://www.oecd.org/publications/oecd-pensions-at-a-glance-19991363.htm PDFの174頁を参照

 

図  2017年10月時点での長崎県・市・町の人口と高齢化率(人口に占める65歳以上の人口の割合)。長崎県は全国平均と比べても高齢化率が高いが、長崎県内において、島の高齢化率は10%前後高いことが分かる。なお本図は前田隆浩教授の第1回長崎大学島とSDGsシンポジウム発表資料より引用した(データは長崎県発表の長崎県異動人口調査 年齢別市町別推計人口に基づく)。