– 海外拠点便り – ベトナム拠点

山城 哲 教授
熱帯医学研究所 ベトナム拠点

長崎大学ベトナムプロジェクト研究拠点は、2006年に新興・再興感染症研究拠点形成プログラムによってベトナム国立衛生疫学研究所内に設立され、2010年から始まった感染症研究国際ネットワーク推進プログラム(J-GRID)に引き継がれている。日越併せて15人程のスタッフが拠点を基盤に活動し、年間約60人程度の研究者が来訪し15の研究課題を活発に実施している。研究だけでなく教育関連施設としても活用され双方で成果を上げつつある。ベトナム研究拠点は日本の感染症研究にとってかけがえの無い資産だと思っている。発展途上国では感染症の研究を行う上で、実に様々な問題が存在する。例えば、相手国研究機関側とのヒューマンネットワークの構築および維持、現地での研究補助員の雇用および労務管理、研究消耗品等の調達、計測機器等の調達・管理、サンプル収集行程の管理、サンプル分析行程の管理などである。研究者が面白い研究着想を持っても、上記の様々な問題に跳ね返されて実施を断念せざるを得ない事が多く見られた。日本の研究拠点がプロジェクトを実施する現場にあると言う事は、前述の問題の多くを克服できると云う事である。極端な事を言えば、研究者は豊かな着想を持って、体一つで来てくれたら良いのである。我々はそのような資産をしっかりと運用して行く責任が有る。

熱研も含めた感染症分野の研究者がベトナム拠点を活用する中で切磋琢磨し、意義の深い研究を恒常的に世に出していく体制を作る事が肝要であろう。ベトナム拠点は人材育成にも力を注いでいる事は紹介したが、感染症や熱帯医学分野における若い研究者に積極的に使ってもらえる永続的な仕組みを作る事が大切である。将来的にはベトナム拠点が感染症や熱帯医学分野のキャリアパスの一つとなるような、つまり若手研究者の登竜門的な施設になれば良いと思っている。

CICORNニュースレター第1号(平成25年5月号)掲載記事
http://hdl.handle.net/10069/34012

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