インドネシア 環境草の根案件

早瀬 隆司 教授
水産・環境科学総合研究科
蒲原 新一 講師
長崎総合科学大学 環境・建築学部

平成24年度補正予算によるJICA草の根技術協力事業(地域経済活性化特別枠)に応募していた「南ジャカルタにおける持続可能な地域づくり活動のための地域ネットワーク構築事業 -河川を核として-」の提案事案が採択内定を受けました。この事業は長崎市が提案自治体となり、長崎大学(プロジェクトマネージャー、水産・環境科学総合研究科 研究科長 教授 早瀬隆司)・長崎総合科学大学・熊本県立大学・ながさきエコネットが実施団体となるものです。2010年から3年間実施した「小学校における環境保全活動の実施による持続可能な発展のための地域ネットワークづくり」に続くプロジェクトとなります。

前事業では、モデル小学校での環境教育・活動を起点に学校周辺の自治体にアプローチし持続可能な発展のための地域ネットワークづくりと教育活動を実施しました。地域の環境改善へ向けた住民らとの議論の中で、廃棄物・排泄物の流入による河川の汚染問題が提起され、地域ネットワークによる清掃活動・啓発活動が始まりました。しかし、河川の清掃活動を「自分たちがいくらがんばってもきれいにならない」という意見が出てきました。河川周辺の住民にはトイレがないところも多く、川の直上に垂れ流し式の公共トイレが設置されていますし、上流から汚物が流れてくることもあり当然かもしれません。橋の上で川の流れを観察すると色々なモノが流れていきます。当然りっぱな排泄物も流れていきます。そこで、前事業の終わりには公共トイレとしてメタン発酵機能を持つ簡易浄化槽トイレを設置し、排泄物の流出防止と、メタンガス(エネルギー)の取出しができるようにしました。

本事業では、短期的な環境改善のためのメタン発酵機能を併せ持つ簡易浄化槽トイレをコミュニティの共用設備としてモデル地区に10基程度設置し、河川へ排泄物が直接流れ込むのを防ぎ、汚濁負荷減少を図ります。さらに、このトイレをコミュニティによる「きれいな河川」へ向けた環境活動のシンボルとします。また、中長期的な環境改善に向けて、関係者(市民・事業者・行政)のネットワークづくりを進めるため、長崎市で実施している「ながさきエコネット」活動をモデルとして、モデル河川流域の関係者による環境啓発イベントの実施を目指していきます。そして、流域管理の手法を導入し、上下流域コミュニティとの関係づくり、並びに「きれいな河川」へ向けた活動を出発点とする持続可能な地域づくりへの支援をおこなっていきたいと考えています。

昨年、前プロジェクトにおいて第一号となるメタン発酵機能トイレを設置しているとき、日本側スタッフが発生したメタンガスを使ってトイレの隣でバーベキューをやろうと盛り上がっていると、インドネシア側スタッフは横で渋い顔をしていました。ガスは臭くないのとか、臭くないのとか、本当にやるの?といった顔をしていたのが印象的でした。

ジャカルタ地域では、2012年3月に「ジャカルタ汚染管理マスタープランの見直しを通じた汚染管理能力強化プロジェクト」により策定された改訂マスタープランにおいて、2015年までに上下水道整備を目指しています。しかし、もう2014年になります。モデル地域に下水道が整備するのは難しそうですが、多くのコミュニティでは下水道の整備を待ち望んでいます。本事業は、同改訂マスタープランとの連携をとり、下水道未整備地域での汚水管理モデルとして他地域へ水平展開されることを視野に入れながら実施に取り組んでいきます。

川の直上に設置してある公共トイレ 第一号のメタン発酵機能付き簡易浄化槽トイレ

CICORNニュースレター第3号(平成25年12月号)掲載記事
http://hdl.handle.net/10069/34014

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