海外からの研修員を長崎に受け入れる~離島・へき地の医療に学ぶ~

加藤 誠治 教授
国際連携研究戦略本部

国際連携研究戦略本部では、平成20年から、JICA(独立行政法人国際協力機構)から委託を受けて、アフリカ・アジア・大洋州諸国の中央・地方政府の保健行政官を対象とした研修事業「地域保健システム強化~離島・へき地の医療に学ぶ~」を実施してきました。

長崎県は50以上の有人離島があり、日本の中心から最も離れた県のひとつであることから、離島・へき地における保健医療システムの整備を古くから進めてきました。このような特徴をもつ長崎県の事例から、開発途上国の地方保健行政に携わる研修員達が、疾病構造の変換にともなった日本の保健医療システムの変化と現在の県行政及び県内医療機関の取組等を学び、そこから得た気づきを自国の保健政策・行政に反映させることがこの研修の狙いです。

この研修は本年度で6回目となりました。いままで表に掲載している国々から、合計52名の研修員を受け入れてきました。この研修は毎年1ヶ月に渡り実施していて、研修員は長崎市を主な滞在地にしながら、五島市、新五島町、平戸市等の県内に加え、東京も訪問するハードな日程をこなしています。今年も本学の教職員に加え、長崎県福祉保健部、長崎市市民健康部、長崎県病院企業団、五島市、新上五島町、長崎医療センター等多数の関係者にご協力をいただきました。この研修は訪問機関20ヶ所、講師40名以という非常に広範な県内医療関係者の理解と協力によって支えられています。

研修員たちは皆、長崎の人々のホスピタリティ、人種・国により対応に差別がないこと等に感心していました。又、長崎市、五島、上五島が街々の隅々まで清潔に保たれていることに驚いていました。一方で、研修の標題にもなっている「離島・へき地」に関連して、五島に行っても“ここがへき地???”“離島と言っても、通信事情、電化状況、更に道路は整備されているし、自分の国の離島・へき地と随分事情が違う。”など、研修プログラムの責任者としては耳の痛いコメントもあります。

しかし、地方で医療従事者が定着しにくく、医療従事者の確保の問題は日本でも開発途上国でも地方保健行政の共通の重要な課題となっていること、保健医療財政、健康保険は彼らの国でも取り組むべき優先課題であることが共通していることから、朝から夕方まで講義、ディスカッションが続く中、居眠り等することなく緊張感をもって熱心に取り組んでいました。特に、長崎県でのフィラリア撲滅等の風土病対策の経験、生活習慣病とヘルスプローションの取組、健康保険制度は強く興味をもったようです。

長崎の関係者の方々の協力に支えられているこの研修は、研修員及びJICAから高い評価を得ています。こうして毎年いろいろな国々から来崎してもらい、長崎大学と長崎のファンになってそれぞれの国に戻ってもらうことを目指して、国際連携研究戦略本部は今後もこの事業を継続していく予定です。

国際健康開発研究科・青木先生の講義に聞き入る研修員 県央保健所にて関係者一同 富江診療所・大石先生を囲んで研修員、国際健康開発研究科の学生達 樺島・伊福貴診療所の木村先生と研修員、国際健康開発研究科の学生達

CICORNニュースレター第3号(平成25年12月号)掲載記事
http://hdl.handle.net/10069/34014

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