ベトナム「長崎大学・カントー大学交流推進室開所式」

中尾 隆宏 主任
国際連携研究戦略本部

2014 年2 月28日(金)、カントー大学(ベトナム国カントー市)に於いて長崎大学・カントー大学交流推進室開所式が執り行われました。長崎大学側から片峰茂学長、水産・環境科学総合研究科の征矢野清教授、阪倉良孝教授、宮西隆幸教授、石松惇教授、カントー大学側からHaThanh Toan カントー大学長、Nguyen Thanh Phuong 副学長、Tran Thi Thanh Hien 副学長ら多数が出席しました。

歓迎の挨拶でカントー大学長から今後の両大学間の発展への期待が述べられた後、片峰学長から、カントー大学の研究、人材育成において長崎大学か需要な役割を果たすことを希望していると述べました。

交流推進室開所式の終了後、カントー大学養殖・水産学部及び環境天然資源学部を訪問し両学部との今後の研究交流について意見を交換し、施設を見学しました。環境天然資源学部では、Nguyen Hieu Tung 学部長がカントー市周辺のメコンデルタ地域の水環境問題研究を紹介しました。

長崎大学とカントー大学は2012 年に大学間学術交流協定を締結し、水産学部教員が共同研究を行ってきました。現在、カントー大学は、平成26 年度からJICA が実施するカントー大学強化事業(農学、水産、環境分野)に向けJICA と協議中であり、平成26 年3 月下旬からは事業準備調査が約4 か月間行われます。長崎大学では、水産・環境科学総合研究科が中心となり、交流推進室をベトナムでの拠点とした研究交流を計画しています。

現在、水産・環境科学総合研究科は「南ベトナム・メコン川流域における水産・環境科学教育研究拠点の創成」(平成25 年度大学高度化推進経費)を実施しており、交流推進室は、海洋フィールド科学者育成、連携教育の場として利用される予定です。

カントー大学は4 つのキャンパスを持ち、今回訪問した養殖・水産学部及び環境天然資源学部水産、環境学部はカントー市中心部にある第2 キャンパスに位置します。最寄り空港のカントー空港から第2 キャンパスまではタクシーで20 分、料金は約20 万ドン(約1,000 円)です。ベトナム北部のハノイ空港とカントー空港間はベトナム航空の直行線が毎日1 日1 便から2 便運航しています。ホーチミン空港経由の場合、空港で運転手付車両をレンタルし3 時間(約170 ㎞)の移動が必要です。ベトナムの高速道路網は未発達のためスクーターも走行する一般道を走ることが多いです。

デルタ地域の中央部に位置するカントー市は、長崎大学熱帯医学研究所ベトナム拠点がある首都ハノイと比べると、人口は約5 分の1(120 万人)、冬場も温暖で、11 月から3 月まで曇天で晴れ間がほとんどないハノイより過ごしやすく感じられました。また、海から離れたハノイで魚料理と言えば川魚(鯉、ナマズ)ですが、カントーでは近海で取れた新鮮な魚介類が手に入るため、生きた蛸を鍋に入れる料理もあります。メコンデルタ地域には大小多数の川が流れており、川は農産物の物流経路でもあります。カントー市の南側を流れるカントー川でも、早朝、水上マーケットが開かれ、野菜、果物を積んだ多くの船が往来し、船上で荷物の受け渡しを行う人達を見ることができます。

国際連携研究戦略本部では、熱帯病・感染症研究分野、放射線医療科学分野だけでなく、海洋環境生物資源研究分野の国際研究プロジェクトも推進していますので、引き続き交流推進室の整備を行っていく予定です。

長崎大学・カントー大学交流推進室開所式 カントー大学養殖・水産学部 早朝の水上マーケット 中尾隆宏事務職員(左から3番目)

CICORNニュースレター第4号(平成26年4月号)掲載記事
http://hdl.handle.net/10069/34255