東南アジアとの交流
感染症の地域研究を嚆矢とするタイとの研究・教育交流
1980年代に熱帯医学研究所の五十嵐 章 助教授(後、熱帯医学研究所教授・所長)がタイ国内の複数大学等(チェンマイ大学、マヒドン大学、タイ王国保健省医科学局)と地域感染症の共同研究を開始したことから、長崎大学とタイとの本格的な研究・教育交流が始まりました。
その後、タイ国北部地方の感染症研究が熱帯医学研究所全体の研究テーマに設定されたこともあり、熱帯医学分野を中心にしてタイ国内の大学との交流が進められました。
交流の深化と学術交流協定の締結
タイ国内の大学との研究及び人的交流が着実かつ活発に継続され、1990年代から2000年代にかけて、それらの機関との学術交流協定が次々と締結されていきました。
また長崎大学病院第二内科が毎年夏にチェンマイ大学で行っている熱帯地方特有の感染症に関する短期研修や、熱帯医学研究所がタマサート大学と共同主催する「世界保健ニーズに応える医薬品研究開発ディプロマコース」など、現在まで続く息の長い交流も開始されました。
大学間学術交流協定の締結一覧
1990年 チェンマイ大学
1993年 チュラロンコン大学
1999年 マヒドン大学
2006年 タマサート大学
2006年 タイ王国保健省医科学局
2018年 泰日工業大学
多様な分野での交流へ発展・拡大
その後、熱帯医学分野の交流は引き続き行いながらも、交流が環境や経済、情報など他分野にも拡大し、長崎大学全体としてタイとの関係を強化しています。
グローバル人材育成を目的とするGSR(Global Social Responsibility)短期海外研修により、本学経済学部の学生が、2013年に9名がチェンマイ大学へ、そして2014~2016年には約20名が毎年チェンマイ大学やチュラロンコン大学に派遣されました。
また2013~2019年には、JASSO等の支援を受け、本学環境科学部が国際環境エキスパート人材育成を目的する環境サマースクールを開催し、2019年にはJSTさくらサイエンスプランの支援を受け、本学アジア環境レジリエンス研究センター(水産・環境科学総合研究科)がSDGs学習を行うAsian Environmental Resilience Research Initiative(通称、AERRI)を開催し、それぞれマヒドン大学から多数の学生を受け入れました。
これら環境サマースクールとAERRIは、プラネタリーヘルスに貢献する人材育成を目的として統合され、現在はウィズコロナ時代に対応したハイフレックス形式で続けられています。この他にも、同様にJSTさくらサイエンスプランの支援を受けて、2014年から医歯薬学総合研究科(薬学系)が例年チュラロンコン大学の学生を受け入れ、薬学に関する講義・実験や企業見学、平和学習などの機会を提供しています。